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「大翔、何をしているの」
大翔が姉の怒声にビクッと肩を震わせていた。卓史も雷が落ちたかと思うくらい身が縮まった。そこまで怒らなくても。
「姉ちゃん。落ち着いて話を聞いてほしい」
「うるさい。黙っていて」
姉の金切り声にビクッとしたがここは大翔のためにも引けない。若丸と静は大翔を守ってくれる存在だ。神様ではないが霊格は高い。若丸と静がいれば悪霊も近づけない。つまり、姉が今の状況を受け入れさえすればなんの問題もない。頼朝の霊だって退けられる力がある。この家にとって吉だ。大吉な存在だ。
だけどやっぱり話さないほうがいい。ならば、ここは姉をどうにか落ちつかせなきゃ。また大翔にお願いするしかないか。
卓史は大翔にそっと近づき「母ちゃんに抱きつけ」とだけ耳打ちした。大翔は一瞬キョトンとした顔をしたがすぐに頷き「ママ」と叫び抱きついた。
「ぼく、大丈夫だよ。悪い霊はいないから。おじちゃんが解決してくれたから」
「えっ」
姉は拍子抜けした顔でこっちを向いた。
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