13人が本棚に入れています
本棚に追加
銚子に向けて卓史は車を走らせた。姉に会うのは姉の結婚式以来だろうか。いや、今年の正月に実家に帰ってきたときに会ったか。けど、姉の家に行くのは三年ぶりくらいになるだろうか。
銚子か。
駅前では醤油の匂いがなんとなくする。銚子駅から少し行ったところにヤマサの工場があるからそう感じるだけなのかもしれないけど。醤油ソフトクリームなんてものがあったのを覚えている。
いや、銚子と言った新鮮な魚介類だろう。金目鯛がふと浮かぶ。きっと食卓に並ぶはず。いや高いから鰯か秋刀魚か鰹かな。それもいいが今は、銚子の伊達巻が食べたい。扇型でなめらかなプリンのような伊達巻が頭に浮かぶ。『漁夫プリン』なんて別名もあるみたいだけど。銚子の寿司屋でも七軒だけしか作っていないらしい。そうそう食べたいのは寿司屋で作っている伊達巻寿司だ。なんとも特別感があっていい。見たときは伊達巻じゃないだろうって思ったけど銚子ではそう呼んでいる。想像しただけで涎が出てしまう。言っておくが普通の伊達巻だってある。銚子の伊達巻は銚子でも特別なものなのかもしれない。
もう一つ気になっているものがある。嘉平屋のカレーボールだ。魚のすり身をカレー風味で丸く揚げたやつ。いわゆる練り製品だ。丸いカレー味のさつま揚げみたいなものと言えるだろうか。
ああ、腹が減ってきた。銚子に着くまで我慢、我慢。
青い空が目に留まる。天気が良くてよかった。きっと自分は晴れ男だ。
最初のコメントを投稿しよう!