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大翔は役者だな。抱きつけって言葉だけであそこまで機転を利かすとは凄い奴だ。確かに悪い霊はいない。嘘は言っていない。若丸も静もすぐそこにいるが良い霊だからな。あ、若丸は霊ではないのか。妖の良い狸ってところか。
実際のところまだ解決していないけど、まあいいか。姉にはそう思ってもらったほうがいい。大翔は本当に賢い奴だ。義経の生まれ変わりだから知略に長けているのかも。
問題は頼朝だ。姉が知ったところで怖がるだけだ。秘密裡に進めよう。
「姉ちゃん、もう一泊してくけどいいか」
「もちろん、解決してくれたんだったらお祝いしなきゃ。流石、卓史ね。だから、昨日はぐっすり眠れたのね」
引き攣った笑いを浮かべて静と若丸を見遣る。静と若丸は苦笑いを浮かべていた。
あんな騒ぎでぐっすりとはね。んっ、もしかして。静と若丸へともう一度目を向けると
「結界を張っていましたから」と返事があった。
なるほど、そうだったのか。
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