Ⅱ リッカ

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「はあ?」  心底理解ができずに、間抜けな声しか出てこない。 「別に今日限りのことじゃない。俺らは楽しく『遊び』たいだけだけど、リッカはそうじゃないだろ。それが悪いわけじゃないけど、やっぱり俺たちとは合わないかなって。つーわけで、帰るわ」 「じゃあな」  オレはしばし立ち尽くした。逃げるように立ち去る背中よりも、一人取り残された自分のほうが間抜けに感じられるのはどうしてだろう。  エントランスを通り抜ける住人が、オレのことをちらりと見た。その視線でようやく我に返り、オレは家に帰った。……引っ越し荷物をまとめるために。 「もしもし」 「あ、シゲ。今どこ」 「家だけど。なんだよ急に」 「ちょうどよかった。オレ今日急に家出なきゃならなくなってさ。お前んち行くわ。しばらくよろしく」 「は? 今からくんの?」 「そう言っただろ。じゃ」 「え、なに勝手に……おい、リッカ!」
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