Ⅱ リッカ

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 ホテルから出ると太陽が目にしみた。やりすぎると日の光が奇妙な色に見える、などと聞いたことがあるが、誰とセックスしたところで、空は青いし、雲は白い。  隣の店のガラス窓にうつった自分の姿が目に入り、この格好のまま打ち合わせに行ったらまたシゲに渋い顔をされるな、と考えた。かといって家に着替えに帰るのも面倒だ。  きっちり頭が冴えていれば、前夜何をしていようが同じ服を何日着てようが文句なんて言わせやしねえ、と思う。それにしても、今日は少しばかり眠かった。いつまでも腕にしがみついて離れなかったいまいましい女と、朝の早い時間にばかり打ち合わせを入れるマネージャーのせいだ。  顔をゆがめて伸びをしかけた。その時だった。 「おい、タチアオイのボーカル」  不自然な呼ばれ方が気になり、歩きながら振り返る。知らない若者が数人後ろについている。  気味が悪いな、と思いつつも無視を決めて歩き続けると、突如、背中に何かが押し当てられた。 「何してんだ、てめ」 「おっと待て」  言い終わらないうちに被せられる。 「早まるなよ。背中のコレ、わかってるな」
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