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「マジで、お前のせいなのか。リッカ」
信じられないと言った顔でトンが詰めてきた。
「契約解除だぞ? 俺らの人生がかかった話だぞ」
「知らねえよ。オレのせいかって聞かれたから、思い当たるふしを話しただ、」
「ふざけた口きくな! 他人事みたいに!」
身体が吹っ飛ぶ。トンに張り飛ばされた、と気づくまでに時間がかかった。
「おい、トン」
とりなそうとシゲが近づく。
「道理で最近ふぬけてたわけだ。そんなことになってたとはな」
シゲの手を制してトンは続けた。
「よう、リッカ。あの日のお前はどこに行った? 一年でのし上がるって宣言して、全てをタチアオイに捧げろって言ったお前は?」
言っていることは理解できる。しかし、なぜだろう、全く心に響いてこない。
祖母が死んだと聞かされたときに燃え上がった炎、それがジャコの死ですっと消されてしまったかのようだった。
「勝手なもんだよ。人には言うだけ言っておいて、自分の揉め事であっさり全部パーにするんだからな」
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