Ⅱ リッカ

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「マジで、お前のせいなのか。リッカ」  信じられないと言った顔でトンが詰めてきた。 「契約解除だぞ? 俺らの人生がかかった話だぞ」 「知らねえよ。オレのせいかって聞かれたから、思い当たるふしを話しただ、」 「ふざけた口きくな! 他人事みたいに!」  身体が吹っ飛ぶ。トンに張り飛ばされた、と気づくまでに時間がかかった。 「おい、トン」  とりなそうとシゲが近づく。 「道理で最近ふぬけてたわけだ。そんなことになってたとはな」  シゲの手を制してトンは続けた。 「よう、リッカ。あの日のお前はどこに行った? 一年でのし上がるって宣言して、全てをタチアオイに捧げろって言ったお前は?」  言っていることは理解できる。しかし、なぜだろう、全く心に響いてこない。  祖母が死んだと聞かされたときに燃え上がった炎、それがジャコの死ですっと消されてしまったかのようだった。 「勝手なもんだよ。人には言うだけ言っておいて、自分の揉め事であっさり全部パーにするんだからな」
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