Ⅱ リッカ

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 日が落ち始めていたが、また連れ立って外に出た。今度のジャコは真っ赤なポストに関心を示したので「あそこに手紙を入れると届けたい人に届けてくれる」と説明した。 「どうやってうちまでつながってるんだ? あの下に誰かいるのか?」  突飛な発想に大笑いしているうちに、チェーンのリサイクルショップに到着した。ひとしきり店内を物色してから、もう何十回もやったことのあるゲームソフトと、初心者向けのレシピブックを何冊か購入した。  家に帰ると、さっそくゲーム機を起動させる。 「あーそっか。名前つけなきゃなんねえのか」 「名前? だれの?」  まだ序盤も序盤なのに、正座したジャコはもう前のめりになっている。 「ゲームの主人公だよ。名前が好きに決められるの。『ジャコ』でいっかな」 「やだ。『リッカ』にしてよ」 「こっぱずかしいからやだよ」  オレは画面上でカーソルをくるりと動かした。レトロな画面がぴかぴか点滅する。 「だってコイツ、父親に憧れて勇者を目指す、っていうキャラ設定なんだぜ。やってられっか」 「リッカは父親が嫌いなのか?」 「もちろん」  即答しながら、何かが引っかかった。 「リッカが父親を嫌いなら、おれには父親がいないよ」  ジャコの台詞に、あ、そういうことか、と気がついたが、ジャコの口調はからっとしていたので気にしないことにした。 「ま、それもそうだな。しょうがねえからオレの名前でいくか。ジャコは仲間の名前にでもしようかな」  リッカと名付けられた勇者は、勝ち誇った顔をしながら、画面の中でくるっと一回転した。 「仲間って?」 「仲間ってのは……そうだね。同じ目標に向かって助け合う奴ら、のことかな。友達みたいなもんさ」 「ふうん」 「あーでも、仲間って三人いるんだよなあ。一人がジャコだと他の二人が困るなあ……」
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