第7章

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 寝台に身体を倒した二人は唇を重ね合い、自分たちの存在を確かめ合うように身体を重ねていく。触れ合う身体は互いの熱が溶け込み、鼓動さえも重なっていくのがわかる。それが二人の想いが重なっていくみたいで、ラズはこの温もりを離したくないとばかりに強く抱き締めてしまう。だが、それもアウジードによってもたらされた濃厚な口づけによって、力を奪われてしまう。 「ラズ。そんなに強く抱き締めずとも、今宵は私の方がお前を離すつもりがない。……お前が『離せ』と、拒絶しようともな」  アウジードは羞恥を煽るように笑み、ラズの腰布に手を掛けた。腰布はするりと解かれ、熱を持ち始めた獣茎はいとも簡単に晒されてしまった。  優しく撫でるように獣茎を扱かれ、ラズはすぐにその刺激に酔いしれていった。いつの間にか上着も脱がされており、首に掛かっている鎖の首飾りがヒヤリと肌に触れる。その固い冷たさに、己の興奮がもたらす火照りに気づかされ、羞恥でますます身体を熱くしてしまう。  しなやかな指の動きに翻弄された獣茎は、滴らせる雫の量を増やし、己の質量も増やしていく。そして、下腹部に集まる熱の重さに、アウジードの背に絡めた腕の力が強まり、彼の耳を喜ばす声も抑制が利かなくなってしまう。 「……ぁあ、アウジードッ……。……もぅ、出るっ。――あぁっ」  褐色の肌に白い液体を散らばらせたラズは、導かれた射精の余韻に浸っていた。  その様子を満足そうに眺めていたアウジードは、身体を起こし寝台の横に据えてある小さな収納棚に手を伸ばした。しかし、何を思ったかその手を引き戻し、再びラズの姿を見下ろした。これからの行為に香油が必要なはずなのだが、それを取ろうともせず無言のままでいる。その状態がしばらく続き、寝台の上で惚けていたラズも流石に妙に思い始めた時、突然アウジードが身体を屈めてラズの腹部に顔を近づけてきた。
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