第7章

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「……――えっ!?」  突如、腹部から温かく湿った物が這う感触が伝わってきた。ラズはちらりと様子を伺うが、目に入ってきた光景に思わず上体を跳ね起こした。 「……ア、アウジード。何を……?」  腹部を這っていたのはアウジードの舌だった。彼は薄い唇から赤い舌を伸ばし、褐色の肌の上に散らばる白濁を舐め取っていたのだ。初めて目にする不可解な光景に、ラズは動揺した声をあげてしまう。すると、ラズの声と動きに反応したアウジードが、ゆっくりと身体を起こした。 「……これがラズの味か。あの蛇にやるには惜しい味だな」  目を丸くしたラズの顔を見るなり、アウジードは意地悪く口許に笑みを浮かべ舌舐めずりをした。  これまで研究や蛇型魔獣の食料と称し、アウジードの手によって何度も自分の意思に反した射精に導かれていた。同時に、アウジードの昂りを鎮めるため、ラズが口で奉仕する事も多々あった。それは一方的で不快な行為だったが、心を通じ合わせた今では自分の気持ちも昂らせる快楽に変化していた。だが、相愛の関係になってもアウジードが口で施してくる事はなく、もちろん吐き出された精液に口を近づけるなんてあるはずもなかった。  それがどうだ。未だ茫然としたままのラズの目の前で、アウジードは残った精液を指で拭い、ちろりと出した舌先で舐め続けている。どういった心境の変化があり、何が彼をそう駆り立てたのかも分からない。しかし、初めて目にするその姿がいつもと違った妖艶さに映り、ラズの胸はいつもと違った興奮で高鳴っていた。それが、すぐさま下腹部にも現れてしまう。 「どうした? 今日は随分と持ち直しが早いな」  勃ち上がった獣茎を眼下に捉え、アウジードが言う。「仕方ないだろ」と、反論するが、興奮しているせいか上手く言葉が続かず、もごつかせてしまう。その様子にアウジードは、「ククッ」と、声を漏らしながら自身の衣に手を掛けた。
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