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「“いたいけな少年”をガキ呼ばわりする男の言うセリフとは思えんな」ウィッグマンは立ちあがって歩を進め、ガードイエローの正面に対峙する。
「なっ、貴様っ――」
ウィッグマンは、手品のような早技でガードイエローの仮面をはぎとる。
ウィッグマンよりハゲでファットマンよりデブな素顔があらわになる。
「よかったらこれ、引き受けてくれないかなあ」ウィッグマンがカードを見せる。「ここんとこカスがあまって、どーにもしようがないんだよ」
「あ、あの、その…」ヒーローの仮面をむかれた男は口ごもりながらこたえる。「ワタシはその、ド近眼なもんで、どうかその…、マスクをかぶんないとよく見えないんですよ」
ウィッグマンが仮面を返すと、黄色い装束の男はそそくさとそれをかぶる。
「どうだ、引き受けてはくれんもんかね、このカス」ウィッグマンがカードをかざす。
ポーズを決める何枚ものガードイエロー。
黄ばんだ悲鳴がこだまするのを追いかけるように、アジトには慰めの歌がか細く響きわたった。
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