第1章

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 ラストシーンの美しさには息を呑んだ。この映画は音楽と一体になった映像詩であり、魂の深層に潜む、太古以前の水中生活へのノスタルジーを呼び覚ます。深海に住むイルカへ愛を捧げるために、ジャックは事故死した父や親友エンゾと同様に、海中での愛と眠りの方を選ぶのである。  こうして見てくると、死を美化した世界であり、モデルとなったマイヨールが、自身で命を絶つことを選んだのも、必然であったような気がする。それなら、どうしてマイヨールは、もう少し美しい死に方を選ばなかったのだろう。  あとがき  僕が小笠原に向かって旅立ったのは、一九九八年(平成一〇)八月一日のことである。 八月一日 竹芝桟橋出港 八月二日 父島二見港入港 ジャングル体験 八月三日 シーカヤックに乗る 八月四日 聟島列島で、ドルフィン・スィムを体験 八月五日 マイクロバスで父島島内を巡る 父島二見港出港 八月六日 竹芝桟橋入港  それから早くも十五年の月日が経ってしまった。若かった頃の体験だが、当時の日記をもとにしてまとめ直した。書き進めながら、懐かしい記憶がよみがえってきた。
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