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悠羽は高二からの友人だが、まるで旧知の仲のように、俺を慕ってくれている。人懐っこく、文字通り、誰のふところにも上手に潜り込むことができる。男に膝に乗られても不快じゃないのは、多分悠羽くらいだ。男にしては可愛い顔をしているし、なつかれていることを素直に喜んでいる。
「ヨッシーの彼女、もっとちっこくなかった?」
俺の名字は吉岡という。初めて会話をしたそのときにあだ名を決められ、以来「ヨッシー」が定着した。
「ちっこい彼女とは先週別れたよ」
「え、なんで」
「浮気がバレまして」
「すけこましのヤリチン野郎」
罵るがいい。女が俺を放っておかないのだ。付き合いたくて、列をついて待っている。一人でも多くの相手をしなければ、彼女たちが可哀想だ。
そう、俺はモテるのだ。
「ヨッシーさ、セックス上手い?」
おっ、と声が出た。悠羽は女に興味がないのだと思っていたが、違うらしい。
「上手いよ。教えてやろうか?」
「うん」
ぱたん、と漫画を閉じて膝の上から飛び降りると、向かい合う形で座り直し、首に両腕を絡ませてきた。なんだこの格好は。
「どんだけ上手いか、教えて」
耳に口を寄せて囁いてくる。
「え?」
悠羽が俺の首に抱きついたままで、体を揺すり始めた。ガタガタと椅子が鳴る。尻で股間を刺激されている、と気づいて汗が出た。
「ちょ、こら、止まれ」
「あははっ」
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