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まるで遊園地のアトラクションに乗っている子どものようだ。楽しそうに腰を振っている。今は昼休みでここは教室。唐突に卑猥な遊びを始めた悠羽を、周りの生徒は「やれやれー」とか「イクーッ」とか、馬鹿みたいに騒いではやし立てている。
「悠羽ちゃん、喘いでー」
誰かが悠羽をあおる。調子に乗った悠羽が「あんっ、あんっ」と鼻にかかった芝居くさい喘ぎ声を漏らし始めた。隣の女子がスマホをこっちに向けていた。目が真剣だ。
男子は大喜びだが、女子はみんなきっとドン引きだ。やめろ、努力して築き上げた「モテ男」の肖像が、音を立てて崩れてしまう。
慌てて女子を確認したが、おかしい。
なぜか嬉しそうに注目している。そうか、と気づいた。女の子は男同士のこういう絡みが好きな場合もある。腐女子というやつだ。
「ヨッシー」
悠羽が動きを止め、俺の肩に手をかけて、申し訳なさそうに小声でつぶやいた。
「硬くなってきちゃった」
「げっ」
こすられたから勃起してしまった。
「どうすんだよっ」
憎々しげに悠羽の頬を引っ張ると、チャイムが鳴った。昼休みが終わってしまった。
「やばい、まずい」
悠羽がどくとまずい。盛り上がった股間が丸見えになる。まさか、この状態で授業を受けるわけにもいかない。
「このままトイレ行くってのは?」
悠羽がヒソヒソ声で提案した。
「それだ」
俺たちは抱き合ったままうなずいた。
「何、どうしたって? 腹が痛い? それは大変だ、保健室に行こう!」
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