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わざとらしく叫んで、悠羽の脚を抱えながら立ち上がる。
「おい、駅弁かよ。やらしーな」
冷やかす声に「うるせえ」と返して、急いで教室を出た。
「悠羽」
廊下を数歩進んだところで、誰かが呼び止めた。振り返ると、眼鏡の男がドアの隙間から顔を覗かせていた。須賀だ。
「チャイム鳴ったぞ。どこ行くんだよ」
須賀が言った。二人は幼馴染らしく、須賀はいつもまるで悠羽の保護者のように立ち振る舞っている。
「保健室。スガちゃん、先生に言っといて」
悠羽が答え、俺の尻をかかとで打ち、「はいやー!」と叫ぶ。馬かよ、とぼやきながら、トイレへと急ぐ。
「早く、降りろよ」
廊下を駆け抜け、トイレに飛び込むと、いつまでもしがみついたままの悠羽を急かした。とっとと個室で抜いてしまいたい。
「せっかく勃ってんだし、ついでに教えてよ」
「は?」
「上手いんだろ? セックス」
首にしがみつき、ふうっと耳に息を吹きかけてきた。
「勃起チンコが当たっててさ、俺も勃っちゃった」
「お、おま、え」
「そこ、入って」
悠羽が個室を指さした。個室と悠羽の顔を、何度も見比べた。
「マジかよ」
「俺、コンドーム持ってる」
ニヤリと笑って悠羽が言った。
「しようよ」
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