立花悠羽

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立花悠羽

 女を抱くのと、男に抱かれるのと。  両方経験してみて感じたのは、抱かれるほうが圧倒的に気楽だということ。  プレッシャーがない。  上手くやらなきゃとか、感じさせなきゃとか。  この喘ぎ声は演技なのかとか、「イク」というセリフが嘘なのかとか。  考えなくてもいいのは助かる。  男は気持ちがよければ勃つし、悪ければ萎える。わかりやすい。駆け引きのいらない、嘘のない行為は俺にあっていると思う。  挿入されるのも気持ちがいいし、オナニーも後ろを使うようになった。  俺は目覚めてしまったのだ。抱かれる側の快感に。  スガちゃんと、ヨッシーと、たっくん。  三人の男とヤッてみて、それぞれよかった。みんな違ってみんないい。お互い気持ちよければそれでいいじゃないか、と思ったのに、スガちゃんはご立腹の様子だった。 「吉岡とヤッたのか?」  学校が終わると無言のまま手を引かれ、スガちゃんの部屋に連れ込まれた。ものすごく機嫌が悪い。 「え、なんでわかったの?」  訊くと、「否定しないのか?」とわけのわからない質問が返ってきた。否定しなきゃいけない理由なんてない。 「教室に戻ってきた吉岡が変だったんだ」 「変って?」     
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