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「机に頭ぶつけたり、髪の毛かき乱したり、貧乏ゆすりしたり、とにかく落ち着かなかった。だから訊いたんだ」
うつむいていたスガちゃんが、眼鏡を少し持ち上げて、俺を見る。責めるような目だった。
「悠羽と何かあったのかって」
「え、ヤッたって言った?」
ヨッシーは言わないだろうな、と思いながら訊いた。案の定、スガちゃんは首を横に振る。
「ただすごく動揺して、何も言わないで逃げられたよ。それが答えだ」
スガちゃんはベッドの上に何か投げた。コンドームの箱だ。
「明らかに在庫が少ない。いつの間に持ってった?」
「え? 使っちゃダメ? 俺のだよ?」
スガちゃんがはあ、とため息をついてベッドに腰を下ろす。
「お前、どうしたいんだ?」
「どういう意味?」
「何がしたいんだ。なんで、吉岡と?」
「それたっくんにも訊かれたけど、別に、やりたいからやったでよくない?」
「たっくんって、……早瀬拓海か?」
ぎら、とスガちゃんの目が光る。
「まさかお前早瀬とも……」
「うん、ヤッた」
答えると、スガちゃんが顔をしかめて歯を食いしばった。何か、すごく怒っている雰囲気だ。
「誰でもいいのか?」
スガちゃんの声は少し震えていた。
「誰とでもヤるのか?」
首をかしげながら、「誰でもってわけじゃないよ」と答える。
「女にモテるような優男が好みなのか?」
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