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そういうわけでもない。ヨッシーとは成り行きだし、たっくんとはなんとか負かしてやりたい一心でああなった。
スガちゃんとは……。
スガちゃんとは?
「なんで俺を巻き込んだんだ」
頭を抱えてスガちゃんが泣き声で言った。
「期待させておいて他の奴と寝るなんて、ひどすぎる」
「期待?」
スガちゃんが鼻をすする。眼鏡を押し上げて目元をぬぐうと、そのまま動きを止めて吐き捨てるように言った。
「もういい、出てってくれ」
「スガちゃん」
泣いていると気づいた。このまま放っておくわけにはいかない。
「なんで泣くんよ。俺のせい?」
スガちゃんは答えない。首の後ろがひやっとした。何かに失敗したときのような、ざわつく感じが落ち着かない。
「ごめんね?」
「何が……、悪いと思ってるのか?」
「わかんねえけどさ」
俺が泣かせたのはわかる。スガちゃんは乾いた笑い声を上げてから、「あーあ」と天を仰いで嘆いた。
「とりあえず謝っとけか?」
付き合いが長いから、見透かされている。
「だって、意味わかんねえし」
ヨッシーやたっくんとヤッたことを、咎められる意味がわからない。
コンドームだって俺の金で俺が買ってきた俺のものだ。
「俺は、悠羽が好きだ」
スガちゃんが突然言った。
「へっ」
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