立花悠羽

4/10
792人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
 間抜けな声が出た。スガちゃんはベッドに座ったまま、俺を見上げて自嘲気味に笑っている。 「お前もそうだと思ったんだ」 「えっ」 「スガちゃんとセックスしたいって、お前、言っただろ。俺じゃないとダメだって言われた気がして」  びっくりして「あ」と声が出た。スガちゃんはベッドに座って背中を丸めている。うつむいているから表情はわからない。 「でも俺の勘違いだった。お前、誰でもいいもんな」 「違うんよ、誰でもいいってわけじゃ」 「違わない。実際、二人とヤッたじゃないか」 「だって、すげえ、ムラムラして、突っ込まれたくて仕方なくて、ちょうどそこに勃起チンコがあったから」  足を踏み鳴らして反論する。スガちゃんが少しだけ顔を上げて俺を見た。 「馬鹿」 「なんで馬鹿?」 「お前は昔からそうだ。もう少し自分を大事にしてくれ」  そう言って、眼鏡を外すと、それを握りしめ、ベッドに寝転んだ。両腕で顔を隠すようにして、もう一度やかましい音を立てて鼻をすする。 「スガちゃん」 「出てけって言っただろ」 「俺もスガちゃん好きだよ」 「……うん、幼馴染だもんな」 「そういうんじゃなく、好きだよ、だって、そうだよ、俺、初めてはスガちゃんがいいって思ったから、だからスガちゃんを誘った」     
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!