立花悠羽

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 思い出した。姉に男同士がいいとそそのかされ、俄然やってみたくなったのだが、かと言って誰とする? という問題が立ちふさがった。  知り合いの男たちの顔を思い浮かべてみた。その中にはヨッシーとたっくんもいた。でも俺は、初めてするならスガちゃんがいいと思った。スガちゃんじゃないとイヤだった。  どうしてかはわからなかった。  スガちゃんが腕の隙間から俺を見ている。 「俺が近所に住んでて、簡単に攻略できそうだからじゃないのか」  顔が見えなくて感情はわからなかった。でも多分、難しい顔をしている。声が疑わしそうだ。首を横に振って、ベッドの横にすとんと腰を下ろす。 「スガちゃんとしたくて、ワクワクして、めっちゃダッシュしたよ?」  コンドームとローションを買って、早くこれを使いたい、気持ちよくなりたい、スガちゃんと一緒に気持ちよくなりたい。そう思った。  俺は、どうやらスガちゃんのことが好きらしい。 「あれ、うわ、どうしよ」  急に恥ずかしくなってきた。スガちゃんとのセックスを思い返して、全身が熱くなる。  恥ずかしい。自分から襲いかかっておいて、今さらだけど、恥ずかしい真似をした。  スガちゃんは、優しかった。丁寧だったし、俺を大事に扱ってくれた。他の二人とは、違う。  また、あんなふうにされたい。スガちゃんに触って欲しい。     
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