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気持ちいい。よすぎて頭がぼうっとなって、体に力が入らない。
滑り落ちた手が、俺の後ろに差し込まれる。濡れたローションの感触。そこをほぐす動作も慎重で、まったく焦らない。ゆっくりしてくれるのが、とにかく嬉しい。
「挿れてもいいか?」
「え」
「もう、限界」
スガちゃんが、男の顔になっている。
心臓に矢が刺さるとか、胸がキュンと鳴るとか、そういう少女漫画的な表現を、もう笑うことができない。心臓に矢が刺さり、キュンと音が聞こえた。
俺は今、乙女だ。恥ずかしいくらいに乙女だ。
好きだと言われて好きだと気づいて、それだけでこんなに、腰が砕けるくらいに、メロメロになる?
スガちゃんが苦しげに眉を寄せて、俺の中に入ってくる。
眼鏡を外しても、全然イケメンじゃないし、すごく平凡な、どこにでもいる顔。
でも俺はこの顔が好きだ。
体を揺すられて、声を上げる。しがみついて、貪る。快感を、食らいつくす。
気持ちいい、好き、と何度も叫んだと思う。
よく覚えていない。
気づくとベッドにうつぶせになって、ぐったりと横たわっていた。シーツのあちこちにシミができて、使用済みのコンドームが点々としている。何回やったか覚えていない。
「なんか、意外とすごかった」
「意外って」
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