第一話 「愛ゆえに、探偵です」

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 自宅の中に軟禁されてしまったことに気が付いたのは、妹が高校卒業の記念旅行に出かけた三日後の朝だった。  僕はちょうど在宅の仕事が立て込んでいて、外出する機会を失っていた。食料など消耗品の類いは妹が出発前に買い溜めしていたし、そもそも屋外に出るという選択肢自体が丸三日もの間思い浮かばなかった。  そんな僕がふと付近のコンビニに買い物に行こうとしたら、玄関扉が開かなかった。具体的には内側からの鍵を開けてもドアノブが回らない。レバーに外側から何か細工がされているらしく、無理に回そうとすれば壊れてしまいかねない。  困った。ここは築三十年の学生アパートで、ベランダは凄まじい狭さでとてもじゃないが人の出入りには使えない。要するにこの2DKに閉じ込められてしまったというのが事実だった。  妹が帰ってくるのにはまだ二日かかる。それまでに必要に迫られて外に出なければならない予定は今のところない。となると、ここは潔く我慢するのが吉か。むしろ我慢できてしまうというのが悲しい。  さっと踵を返して再びデスクに向かおうとした、そのときだった。
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