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さて、月日は流れて今年の春前。
間もなくやってくるのはG.W。
上手い具合に土日との連携を見せ、五連休となった。
「有休、たくさん残っているよね?」
五連休あれば日本中どこへでも行ける。そんな事を考えていた僕に郁美が尋ねてきた。
この時点で嫌な予感はしていた。
「ま、まあ残っているけど……」
「例えばさ、一日と二日を休めば九連休になるよね?」
おいおい待て待て。何考えているんだ? 確かに法律的には問題ない。けど、職場の空気感的にどうなのかな、それは。
「私ね、どうしても行きたいところがあるの」
そう言って、郁美は俺に一歩寄る。そうする事で、必然的に上目遣いの郁美さんがすぐ近くに来るわけだ。これがとてつもなく可愛いのだから困ったものだ。だが同時に、こういう事をして来る時の郁美は、大抵無茶を言ってくると相場も決まっている。
「……どこかな?」
「イタリア」
ボナセーラ!?
「なんで急にイタリア?」
「オペラが見たいの。イタリアで」
ああ、そうだよね。君、昔から歌劇が好きだものね……って、そんな話聞いた事ないよ?
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