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「よ、よく分かりません。そんな、比べたこともないので……」
「60点」
何が60点なのか分からずに目を白黒させていると、美晴がぐいぐい春臣の胸を押していって丸い大きな寝台に座らせてしまう。
「確かめてみたい。いい?」
「え、え、え……で、でも!」
鞄が床にごとり、と落ちて、春臣はやたら柔らかい円形のベッドに押し倒された。ふかふかした白い布団カバーに身体が沈む。
「往生際が悪いよ」
四つん這いになった美晴がじりじりと上に移動してきた。グレーのジャケットを脱いで、ポイと投げ捨てる姿は、とてもいつもの謹厳実直な上司の姿ではない。
「よ、酔ってたんじゃないんですか?」
春臣が戸惑いながらしどろもどろにそう口にすると、美晴は艶やかな唇をぺろりと舐めてから妖艶に微笑み、「どうだと思う?」と質問を重ねてくる。
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