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「氷のウサギには剣が通じないと言ったろ!」
ちょっと広い洞窟の中、一人の老人の声が響く。それにつられてすみません!、と若者の声も聞こえた。先に叫んだ老人、エリは険を持って、体が氷のようなものでできてるウサギと若い男を見ていた。
「あれは体が固すぎる!お前は魔術師が魔法の準備をする時間を稼げばいい!そんなに近づくな、近すぎると魔術師の呪文にお前まで巻き込まれる」
「は、はい!」
怒って、怒られている2人の様子をちょっと離れた処で見ていたもう一人の老人が笑う。
「相変わらず怖い女だね、エリ。セーナ、テロスがウサギから離れる瞬間に放てばいいよ」
彼はそう言いながら魔法を放つ準備をしている女の子を見た。セーナと呼ばれた彼女はちょっと、いや、かなり緊張してる。始めて化け物になった動物に会って、戦うのだから当然の反応だ。本とかで見てた化け物が目の前にいるのに、誰が怖がらないで、緊張しないでいられるか。それを見ながら老人は微笑んで見せる。
「大丈夫、緊張しなくていい。もし何があったら精霊使いがバックアップしてくれる」
「うん、任せて、ジュリン!」
魔術師の老人、ジュリヌスの言葉に軽い感じで答えたのは精霊を待機させてるクリエだった。彼女は自分と同じく、精霊を呼び出してる若い女と一緒にいる。彼女等の回りにいる精霊は風の精霊、シルフだ。
本来、魔法は精霊から借りてくる力で、魔術師が魔法に関して過ちを犯すと精霊使いがそれをカーバーする。精霊使いは生きている精霊に頼みをするので強力な攻撃をするのはちょっと大変だが色んな方法で魔術師のサポートするのは上手だ。だから魔術師は普段、精霊使いとパートナになって一緒に行動する。
「ルン、もし魔法がテロンに当たれそうならシルフに頼んで魔法を消せばいいの。彼女は魔法を消せれるから」
「ルニアとちゃんと呼んでください、クリエ様」
自分の事をルニアと呼んだ少女は嫌な顔をしながらそう言った。だがクリエはそれに気にせず、楽しい顔で風の精霊、シルフを準備させる。いつでも魔法を消せるように。
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