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その頃、雪は村人たちに磔台に縛られていた。
「雪様、すまねぇ……。すまねぇ……」
雪は悲しい目で村人たちを見下ろしていた。
「津上屋が、雪様の亡骸と交換だって子供たちを連れて行った。雪様、すまねぇ……」
雪の目の前には槍を持った村人たち。
その槍は雪の命を奪うものだろう。
雪は悲しく笑う。
「仕方あるまい。子供たちの命には変えられないだろう。……領地のみんなのために死ぬなら父上も母上も怒るまい……。覚悟した」
雪は目を瞑る。
村人たちの声があがる。
その雑踏の中から聞きなれた声が聞こえる。
「何、一人で勝手に死のうとしている。雪が死んでいいのは、俺が死んだあとだ!」
雪の目が開く。
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