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雪の父、佐竹広臣の仇討ちを果たしてから夫婦となった幼い雪にうら若い雄造。
追われる身となったのだが、雪の父が武家らしくなく農民や町民を愛した名君であっただけに、佐竹広臣の領地の人々は二人に優しかった。
二人を捕まえて、大官所に連れていけば褒美すら貰えただろう。
人々の優しさの中、夫婦は歩く。
例え、優しさに溢れた人々だとしても、罪人なのだ。迷惑はかけられない。
夫婦は、収穫の時期を迎えた農地を付かず離れず歩いていた。
「腹、減ったなぁ」
雄造は、黄金に輝く田園を見て呟いた。
雪は、ふふと笑う。
「雄造、ちょっと待ってろ」
雪は雄造を尻目に走り出す。
「おいおい……」
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