それから

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雪は近くの小屋の前で声をあげる。 「すまない!少しばかりの米と塩を分けてくれないか?代金は払う!」 小屋の戸が開き、男の子が姿を表した。 「ふざけるなよ!……雪様?」 どうやら男の子は、雪を知っているようだ。 「久しいな。少し米と塩を分けてくれないか?これは駄賃だ」 雪は、そっと男の子の手に銭を握らせる。 男の子は、その手を押し返す。 「雪様から銭は受け取れないよ。飯はかまどにあるから勝手に持っていきなよ。塩もあるから」 「すまないな」 雪は、中に入り釜から米を掴み、握り始めた。 入り口で雄造が、感心して眺めている。 「握り飯か……」 男の子は、雄造に驚いて声をあげた。 「誰だよ?お前!」
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