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「私のことは、ももたろうとでも呼んでください。私はただ剣の道に生きているもの。殺生にも褒美にも興味はありません。ただ強くなりたいだけ」
雄造は、ふうっと息を吐く。
「ももたろうとは……。鬼退治でも行くのか?まぁ、俺も剣の道に生きるものだから、試合に依存はねぇよ。殺生なしなら鞘の打ち合いでいいな?」
ももたろうは、にこりと笑う。
「では、お願いいたす」
雄造は、鞘から長刀を抜き川原に突き立てる。
ももたろうも鞘から刀を抜き川原に突き立てる。
お互いに鞘を持ち睨み合う。
ずりずりと距離を縮める。
先に仕掛けたのは、ももたろうだ。
中段の構えから雄造の喉元を狙うが、雄造は鞘を下から打ち上げ、それを払う。
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