苗字レベル

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苗字レベル

「なんでラノベとかアニメとかの登場人物って、小難しい名前が多いんだろうな」  その一言で、全ては始まった。  放課後の図書室で、俺たちはのんびりとぼーっと時間を食いつぶしている。図書部とは名ばかりで、気が向いたら本を読む、といった緩い活動をしている。  そんないつものように、だらっとスマートフォンでゲームをしていると横で、長ったらしいタイトルの萌えキャラ表紙のライトノベルを読んでいた池田がふと呟いたのだ。  なんで、ラノベやアニメの登場人物に、小難しい名前が多いのか。  俺は眼鏡をくいっと上げて唸った。 「まぁ、名前がやたら長かったり珍名なら覚えられやすいし、それだけでキャラが立つ、からじゃない?」 「いや、まぁそれはあるだろうけどよ。よくよく考えたらこんな名前のやつ、リアルじゃねーよなって」  言いたいことは分かる。でも、物語の中でリアルを求めすぎるのもどうかと思う。まぁ、分かるけど。ふと、我に返って振り返ると、ツッコミを入れたくなることはしばしばあるものだ。 「例えば、どんな名前なんですか?」  真ん前に座っていた川上が訊いてくる。すると、池田は持っていた本の表紙を見せてきた。     
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