苗字レベル

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「例えば、このヒロインの名前。下の名前は雪っていうんだけど、苗字は卍山下(まんじやました)」 「え、何それ。怖い。なんか、強そうな苗字っすね」  部員で唯一の女子である田中が食いついた。彼女の言うとおり、卍山下は字面から見てもとんでもなく強そう。 「だろ? まぁ、確かに強いんだけどよ、これが。手から吹雪出せるから。でもさ、こんな苗字の人そうそういなくね? てか、いたら怖い」 「まぁ、私ら、ふっつーの苗字ですからねぇ。田中ってありきたりで、絶対キャラ立たないわ」 「それ言ったら、池田も川上も苗字のレベル低いよね」  田中の言葉に川上が笑いながら言う。 「あー、分かる分かる。だって、小1で習う漢字をつなげただけだしなぁ。それ考えると、斉藤はまぁレベル高いんかな」  池田がケラケラ笑って俺の名前を出してきた。  斉藤、は確かに田中や池田、川上よりも画数は多い。しかし、そう珍しくもなんともない。むしろ、齋藤や斎藤、齊藤の方がレベルとしては高いと思う。  それを言ったら、池田はまたラノベの表紙を見せてきた。 「いや、それ言ったら卍山下も画数的には斉藤よりも少ないし。要は、苗字の質とか珍しさが高レベルとして認識されんだよ」 「なるほど」     
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