苗字レベル

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 苗字レベル、とはそういうものなのか。ということは、全国で最も多いとされる佐藤さんはレベル最弱ということになるのだろう。 「ちなみに、山田、田中、池田、川上この辺りもレベルは1。山口、中山、内田、井上、ここもかなぁ……他はなんかある?」  レベル1の池田が率先して言った。  こう見ると、うちの部員は最弱メンバーだな。 「参考までに聞くけど、俺の斉藤はレベルはどのくらいなんだ」 「あぁ、斉藤はレベル3くらいじゃね?」 「低いな!」  思わず言うと、横から田中がニヤニヤと笑った。ツボにはまったのか、笑い混じりに口を開く。 「まぁ、言っても斉藤ですからね。これが、西塔、才藤ならレベルは50まで跳ね上がります」 「字の問題ってわけか……」  確かに、西塔や才藤は見たことがない。 「あ、そうだ。うちの部はとにかく弱小パーティってことが分かったから、他の部活とかクラスから考えてみませんか」  川上が楽しそうに提案した。すっかり苗字レベルの話で盛り上がった俺たちはすぐさま乗っかることになる。  俺は同じクラスの出席番号1番から順繰りに名前を思い浮かべた。 「ワタナベは、どうだ」  ふと、最後の出席番号ワタナベを出してみる。唸っていた他の部員は首を傾げた。 「ワタナベ……はレベル4か5くらいだろ。割と普通だし」     
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