苗字レベル

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「そいつは盲点だったな、おい、斉藤。お前は異体・旧字パーティに入ると一気にレベル50になれるけど、この弱小パーティからは絶対に抜けるなよ」  何故か釘を差された。まぁ、抜けるつもりもないんだけど。 「そう言えば、うちのクラスに五十嵐っているんですけど」  田中が手を挙げる。途端、俺たちの間に衝撃が走った。 「い、五十嵐、だと……」 「おい、五十嵐ってあの五十嵐だよな」 「そう。なんか、いそうであんまり見かけない五十嵐さんです」  田中はあっけらかんと言ったが、俺達はまだどよめいている。 「五十嵐って、字からしてもんのすごく強そうだよな……池田なんて溜息だけでふっ飛ばされそう……」 「レベルは50どころじゃないですよね……五十嵐だけど」 「レベル80くらいでいいんじゃないか?」 「ちなみに、五十嵐は野球部です」 「あ、じゃあもうレベル80で」  池田の決定により、五十嵐はレベル80になった。異論はない。 「他には……(さかい)、とかどうですか」  川上がおずおずと言う。すると、池田は神妙に頷いた。 「レベル30、いや、35かな。何より、一文字ってのがかっこいい」 「ですよね!」  苗字というのは大体が漢字二文字だが、三文字、一文字となると見え方が変わってくる。  池田的には漢字一文字はかっこいい部類に入るのだろう。     
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