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「あ、そうだ。聞いたことあるんですけど、蘭って苗字があるようですよ」
「なんだかあらゆる怪異に遭ってそうな名前だな。字は違うけど」
池田のツッコミに、川上はへらりと笑う。
彼はこの中ではまぁ博識な方だが、本当に「蘭」なんて苗字があるのか……とスマートフォンで調べたら、すんなりと出てきた。
「小鳥遊さんよりも多いらしいぞ、蘭さん」
俺の調べに、みんなが目を丸くする。いや、俺も驚いた。
蘭の他に花関連だと藤、菖蒲、杠などがあるらしい。
「花とか植物って、それだけでなんかキレイだし漢字だと特に和風っぽくて強そう」
ふんわりとした表現だが、確かに田中の言うとおり雅なイメージができる。そうなると、俺の斉藤も藤が付いているから、なるほど……斉藤ってもしかするともう少しレベルが高いのではなかろうか。
「もっと現実的な名前がいいんだよ。珍苗字挙げりゃいいって話じゃねぇ。言っとくけど、どんなに珍しかろうと雅だろうと斉藤よりも黒崎とか久我とかの方がレベル高いんだからな。こいつらはレベル40台」
何故、俺の苗字をそんなにも下げたがるのだろうか。俺は池田をじっとりと見やった。
ちなみに言うと、黒崎と久我は池田のクラスにいる女子だったと思う。
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