苗字レベル

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「あ、そうだ。私の友達に、原っているんですけど」 「原はレベル3だな。一文字だけど」 「じゃなくて」  田中は苦笑しながらテーブルをぱしんと叩いた。 「原は確かにレベル3、いや1でもいいんですけど。その子、卓球部なんですけどね、先輩とか同級生に苗字レベル高い人が多いらしく」  そうして田中は厳かに言った。 「芦塚(あしづか)岩隈(いわくま)安楽(あんらく)……相当なレベルじゃないっすか、これ」  ごくり。思わず喉を鳴らしてしまう。  確かに、レベルは高い。池田も川上も目を見張り、口元を押さえていた。 「やべぇぞ、卓球部強い……とんでもねぇレベルだわ……」 「いくつくらいですかね」 「多分、芦塚で40。岩隈は50。安楽に至っては70、いや80か? あぁ、でも五十嵐が80なら85くらいで」  足しても相当なレベルである。卓球部、とんでもない最強パーティだった。  芦塚とは同じ三年で何度か会ったことがあるが、見た目は強そうでもない。ひょろんっとしている。それなのに、名前だけでこうも強さが変わるとは。改めて、苗字レベルというフィルターはすごい。 「うちの部じゃまったく敵いませんね」 「卓球部には逆らえねぇな」     
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