苗字レベル

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 いつ逆らうような場面が出てくるのか。しかし、それくらいに俺たち弱小苗字は怯えていた。 「あ、そういやダンス部に朝比奈っていますよ」 「リアル朝比奈か。すげぇな。俺、それ絶対フィクションだと思ってた」  川上の言葉に、池田は溜息を吐いた。  この後輩二人の交友関係はどうなっているんだろう。苗字レベルが異常に高い。池田と同じく、朝比奈なんてアニメの世界だけだと思っていた。 「それじゃあ、ダンス部もレベル80、いや、こいつは90かな。やっべぇ、レベル高いわ」 「あ、そう言えば」  俺が小さく手を挙げる。 「隣のクラスが確かレベル高かったと思うんだよ……なんだったかな……福薗(ふくぞの)とか弓削(ゆげ)中河原(なかがわら)、堀内……みたいな」 「あー、それは高いわ。あと、二階堂やら猪瀬もいたな。なんだよ、レベル高すぎ。3ー4は要注意だな」  まぁ、4組には田原と田上、あと小田、木田、野田など、とにかく田んぼが多いんだが。それでもやはり池田や斉藤には勝っていると思う。  苗字はもうレベルを上げることが出来ないから、絶対に勝てないのだが。  結婚して、苗字を変えるにしても相手の苗字がもしもレベル1なら変えても意味がない。かっこよく、レベルの高い苗字に憧れてしまうな。     
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