前日の準備を始めましょう

4/14
前へ
/70ページ
次へ
昔、好きだったテレビの変身ヒーローもののジャランマジンに似ていたことからこの呼び名がついた。ま、私がつけたんだけど。 それでも「じゃじん」って呼んでるのは、私ぐらい。 「ほんっとに、あなたは私の意志なんて総ムシですか」 携帯の暗くなった画面にベーと舌を出す。 「あーあ、だめだあ。画像だけじゃあいい案が浮かばない」 ごろんと仰向けに寝転がった。 天井の白い壁紙に茶色のシミがついている。 いつかの、 じゃじんが来たときのコーラーを振りかけて出来たシミ。 それを見るたび、胸の奥がつっかえてキリキリ痛むし涙が溢れてくる。 「はあ」 ため息をつくと、玄関のチャイムが鳴った。 「どうぞ。鍵開いてるから」 ガチャンとドアが開く。 私の体勢は崩さない。 仰向けのまま目に写るのはじゃじんの顔。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加