席替え

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「あーあ。」 帰り道、ランドセルを背負った少女は幾度となくため息を繰り返した。 少年は少女の陰鬱な気を紛らそうと明るい話題を振る。 「佳織ちゃん、席が近くになって良かったね!」 すると少女は、ますます眉間にシワを寄せて声を荒げた。 「翔くんのすぐ後ろなんて、絶対にイヤ!」 その言葉に驚いた少年は、少女の顔を覗き込む。 「佳織ちゃん、僕のこと、嫌いになっちゃったの?」 「嫌いじゃないから、こうなってるの!」 と、ふくれっ面を覗かせて、そのまま駆けていってしまった。 なにを怒っているのか、少年にはさっぱりだった。 少女は楽しそうに話す少年の横顔を想うと 胸が締め付けられるのだった。 <了>
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