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天使、もとい浪川陸君はすっげぇ可愛かった。
そこら辺のブスな女子は絶対適わない。性格も控え目で、見た目も天使。
あぁ神様、何でこんな可愛い子が男の子なのでしょうか…。
「須山、お前浪川の事ずっと見てるけど」
「なんだよ」
「…ホモ?」
「ねーわ」
お前らみたいな腐ったヤンキーにはわっかんねぇだろうなぁ、て言うか自分もどっちかって言うとヤンキーなんだけど、
お前らには理解出来ない領域にいるんだよ、俺は。
「浪川の事好きなん?」
「好きっつったらどうなんだよ」
「やっぱホモじゃん」
入学式から半年程が経ち、学校生活も既に安定していた。
周りを見れば皆が友達が出来ている。勿論グループも出来ている。
チャラいグループ、ヤンキーなグループ、真面目なグループ
そしてイケてないグループ、どれにも属さないグループ、色々だ。
俺はヤンキーなグループに入っていた。
当の天使、浪川はと言うと、どれにも属さないグループだ。
浪川は消極的なのだろう、あまり誰とも話さない。かと言って嫌われている訳でもない。
現に今、女子に囲まれ困った様な顔を浮かべている。
「リク君、可愛いねぇ~」
うるせぇブス。おめぇの十倍は可愛いわ。
「ほらリク君、お菓子あげる!」
やめろギャル、性病が感染る。
「リク君~、今度一緒にプリクラ撮ろっ?」
「あのっえっと…」
やめろやめろ!浪川困ってんじゃんか!
いい加減俺が割って入ろうとしたその時。
「俺も混ぜてよぉ~」
来た、王子様だ。
浪川の顔が王子様の方を向く。そして無表情なその顔は、少しホッとした様に見えた。
腐れ女子共は王子様の登場に黄色い声を上げた。そう、王子様はやはり王子様で、この学校で絶大な人気を誇っていたのだ。
聞いた話によればコクられた回数は数知れず。そして振った回数もまた未知の数。
イケメンな顔してるクセに女と付き合った事が無いという噂を聞いて、俺は非常に腹ただしい。
食えるモン食っとけ、王子様。
そして俺の天使にはちょっかい出すな。
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