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 トラックを走らせていると、コンビニは何かと頼りになる。  半年ほど前、山中のとある事業所に早朝配達の荷物を運んでいるとき、ぐるりと大きなカーブを回ったところで突然明るい照明が目に入った。 驚いて見ると新しそうな、だが名も知らないコンビニができていた。  この三桁国道、ほぼ並行したバイパスができたせいでめっきり交通量が少なくなり、同時に沿線も寂れてしまった。 ところどころにはかつて賑わっていた頃の大型バス用駐車場を備えたドライブイン、若者目当ての喫茶店やラブホテルの廃墟が点在し、薄気味悪さすら漂っている。 だから夜も煌々と明るいコンビニはありがたいといえばありがたいのだが、近所に集落らしきものもなく、こんなところで儲かるのかな、と他人事ながら気になった。  ちらりと時計を見ると予定より少し早く走れていていたので、減速して寄ってみることにした。  周囲はほとんど真っ暗、店の照明は明るいというより目に痛いほどだが、他に客の車はなく、店内に入るとありふれた風景が広がっている。 トイレを借りようと店員を探すと、ゴマ塩頭の初老の男性が一人、ひょいと商品棚から顔を出した。 深夜の一人勤務なのだろうか。 その後、少し買い物をしてレジを済ませたが、ゴマ塩オヤジは淡々としたもので、ま近で見ると少しタヌキのようなとぼけた面だった。  トラック便のルートは毎回同じとは限らない。 このコンビニを次に通りかかったのはそれから数週間後だった。 すると辺りは真っ暗で、コンビニがあったところを見ると、完全に照明がなく、建物は真っ暗な状態だった。 いや、正確にいうと、建物の壁が白いせいか、ほんのりと暗闇の中に浮かんでいるようにも見えた。  あいにく後ろから他のトラックが車間を詰めてきていたので、急減速するのはためらわれ、詳細を確かめることはできなかった。 こちらは小休止前提でいただけに困ったことになったな、と思うと同時に、はて、やはり客足が伸びず閉店か、とゴマ塩オヤジの顔を思い出した。  そんな話を会社に戻って同僚と話していたら、あぁ、ずっと閉まったままだな、と相槌を打つ者の一方で、数日前に普通に買い物をした、というのもいた。 何とも不思議な、少々薄気味悪い話でもあるのだが、定期で走るコースでもないのでそのまま数週経った。
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