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オフィスは2階にあるため、ほとんどの従業員が階段を利用するようになった。
しかし3階の倉庫から商品を運ぶのは階段では骨が折れる作業だった。
そして文字通り、階段でつまずいて骨折する従業員がついに現れてしまうのである。業務に支障をきたしてしまったのだ。
「一度みんなで4階を見に行こう。そうすれば頭の中で膨らんだ恐怖を払拭することができるだろ?」とYさんは提案した。
嫌がる従業員を強引に引き連れて、Yさんたちはエレベーターに乗り込んだ。
4階のボタンを押してみるが、何も反応しない。ランプが点かないのである。
「あれ? おかしいな」
何度押しても一緒である。Yさんたちは無言のままエレベーターから降りた。
大家が4階には行けないようにボタンを設定したのではないかという結論に達した。しかしそれではエレベーターが勝手に4階に上がっていたことの説明がつかない。
「階段で行ってみましょうか?」という従業員の提案をYさんは後押しして、一行は階段を上がるも、今度は施錠されたドアに阻まれるのだった。
どうやっても4階には上がれないようになっていたのである
背中を丸めながらゾロゾロとオフィスに戻ると、従業員のひとりが悲鳴をあげた。例のごとく、エレベーターが4階に止まっているのだった。
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