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信号のない郊外をのんびり走っていると、後ろから猛スピードで接近してくる黒い車がミラー越しに見えました。そのまま後ろにピタリと付いたのです。
「なんだよこいつ、感じ悪いな」友人は神経質そうに何度もミラーに目をやりました。
しばらくして長い直線がくると、黒い車はスピードを上げて友人の車を追い抜いていきました。その際に路上の粉雪が舞い上がり、視界が不明瞭になると友人は「あ?ムカつく!」と叫びながらブレーキを踏んで距離を取りました。
緩やかなカーブに差し掛かった時、2人の視界にあるものが飛び込んできました。
路肩に黒い車がひっくり返っていたのです。
「あ! 曲がり切れなくて事故ったんだ」Kさんは声を張り上げました。
「バカな奴だな?」友人は嬉しそうにそう言うと、窓を開けて中指を立てながら通り過ぎました。
「助けなくていいのか?」
「自業自得だろ。さっき俺の車を煽ったんだぞ? あの時に俺が事故っていたら、あいつは俺を助けてくれたのか?」
「・・・・・・でも、救急車くらいは呼んだほうがいいだろ」
「ほっとけって」
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