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2人は往路とは違う遠回りするコースで友人の家に戻りました。
友人は家に着くなり嬉しそうな顔で、ドライブレコーダーに残された映像データをPCに移し、繰り返し再生しました。
「悪趣味すぎるぞ」Kさんは呆れていました。
「これを動画共有サイトにアップする」
「やめろって・・・・・・炎上するぞ」
「平気だよ。ネットの連中は俺の味方になるよ。世間はこういう迷惑な運転する奴にキビシイから」
友人は慣れた手つきで動画をアップしました。
黒い車が自分たちの車を追い抜くシーンから始まり、少し早送りされて、カーブで横転しているシーンでそれは終わっていました。音声は消されていたので、友人が救急車を呼ぶことを拒否したことは分からないようになっていました。
数日が経過すると、コメント欄は「ざまあみろ」「あほやろ」と事故を起こした人への誹謗中傷だらけになってしまったのですが、その中に1つだけ気になるものがありました。
Aというハンドルネームのコメントです。
「この黒い車は私の友人です。先日私の友人は雪道を運転中に事故を起こしてそのまま帰らぬ人になりました。怪我自体は大したことなかったのですが、足がシートに挟まってしまい、そのまま凍死したそうです。この動画の投稿者が救急車を呼んでくれたら助かった命です」
Kさんはそのコメントを読むなり、すぐに友人に連絡しました。しかし反応は冷淡でした。
「あんなもん信じるなよ。真偽なんてわからないだろ? ネットでは嘘をつくことが挨拶みたいなもんなんだ」
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