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透がシャンプーの中身を、美也子を犯そうと夢中になり油断していた、一樹の目に吹きかけたのだ。それで一樹は、顔を覆って苦しんでいるのだ。「てめえ、このガキ……!」一樹はヒリヒリと痛み、見えにくい目でなんとか透を捕らえようとし、美也子の上から立ち上がった。今、美也子が下から見上げる全裸の男は、完全に無防備になっていた。……今だ!!
美也子は全身に残ってたいたわずかな力を総動員させ、半身を起こし。残されたありったけの力を込めて、自分の拳を、一樹の股間にぶち当てた。
「うがっ、ああああああ!!!」
一樹は悲鳴のような甲高い叫び声を上げて、床の上にひっくり返った。美也子はまだ痛みの走る体を懸命に動かし、這いずるようにして、さっき放り出したくぎ抜きを掴み。腕だけでなく、体全体をねじって勢いをつけ。股間を押さえて悶絶する一樹の顔面に、そのくぎ抜きを振り下ろした。
……ぐちゃっ!!
嫌な音を立てて、くぎ抜きが一樹の顔にめり込んだ。めり込んだまま、一樹も、そして美也子も、動きが止まった。それから、醜く歪み、あさっての方向に向いていた一樹の目が、「ギョロッ」と動き。美也子を捕らえた。
「わ、あああああああっ!!」
美也子は自分の恐怖心を打ち消すかのように、くぎ抜きを振り下ろした。繰り返し、繰り返し。まだ、見ている。一樹が、こっちを見てる。あたしを見てる! まだ、まだ見てるうううう!!!!!
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