腹の中の蝶

7/7
前へ
/7ページ
次へ
*** 「あれ、ひどかったよね。 トモ、超ベロンベロンで、よく警備員に追い出されなかったわよ。 あの後、トモ、なかなか話してくれなかったんだけど、りょうには手紙の事、話してたのよね。」 「そうやね、シックスフラッグで聞いた。」 「トモ、りょうには、気を許してから。」 「そうかな、でも、最後までツイてへんかったよな、トモさん。」 「事故の事?」 「あの車、俺が千ドルで買う予定やってん。 ほんで、その金で、リッケンバァッカーのギター、トモさん買って帰る予定にしててん。」 「そうだったの。」 「日本やったら、高くて買われへんからって、トモさん、ビートルズ好きやん。」 「そうだね。 ねぇ、りょう、、、嫉妬って本当に好きじゃないと感じないものなんだよ。」 「突然、何やねん?  でも、それって、今もそうなんやろか、、、考えてみるわ。 明日早いから、もう寝るわ。 電話ありがとう、ミチ姉。 正月開けたら連絡するわ。」 「元気でいなさいよ。」 「そっちも、元気でやってや。」 年に一、二度話す、ミチ姉との、たわいのない会話。 血は繋がっていなが、私達は三十年近く、こうした姉弟の様な会話をしている。 【 Fin 】   
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加