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東北出身の彼女は、色白で髪が長い。 眼鏡はかけていなかったが、その華奢な後ろ姿がどこか昔の彼女に似ていた。
彼女とは英語学校の頃、一緒にアパートを借りた事がある。 男と女の関係ではないが、出会った時から意気投合して、三十年程の付き合いになる。
「それって、嫉妬してるんだよ、その先輩に。」
「そうなん? 嫉妬って、今一経験が無いから、頭で理解できても、感覚的には知らへんねん。」
「憶えてるかな? 初めて、ビーチ行った時、ミキ、機嫌悪かったでしょう。 私とりょうが仲がいいからって、あれはもろに嫉妬してた。 あの後、ミキから聞かれたのよ、『付き合ってるの?』って。」
「俺とミチ姉! ありえへんわ!」
「あり得ないよね!」
「そうや、デートどないやった?」
「何言ってるの。 もう一年も前の事じゃない。 何も無かったし、まだ一人だよ。」
「つまんね。 理想が高すぎるんちゃう。 早よ見付けなあかんで! 退職して、一人で家にいたら、寂しいで。」
「この歳に成って、恋愛なんてめんどくさいし、若い後輩から、『生臭い。』って言われそう。でも、そう思うなら、一度ぐらいは顔見せに帰ってきなさいよ。 ケンちゃんと三人で飲みに行こうよ。」
「出来たらね。 そうや、トモさんと繋がってるから、四人で飲もうや。 」
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