千料役者

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千料役者

【キャラクター設定】 ・阿立幸(あだち ゆき) 『アクターズカンパニー・優』に所属する役者。中性的な顔立ちや細身の体型のため一目では男女の見分けがつかない。 基本的には男女問わずどんな役も受けるが、“自分が直接的に人を殺す役”と“自分が直接的に人に殺される役”はNGとしている。 ・優正清(ゆう まさき) 『アクターズカンパニー・優』の代表取締役兼、役者。中年の男性だが、体つきは引き締まっており、実年齢よりは若く見える。 ・伊呂波誠吾(いろは せいご) 『アクターズカンパニー・優』の役者で阿立と同期。二枚目だが、役ごとに整形をしているため本来の顔ではない。阿立と違いどんな役でも受け付けている。 あらすじには登場しない。 【あらすじ】 目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。 ぼろぼろになったパーティードレス、折れたヒール、血まみれの右太股はストールで止血したのを阿立は思い出した。 「ははっ、ひでぇ有り様…いてっ」 笑うと頬が痛んだ。どうやら殴られたため口の中が切れたらしい。 「あーあ。なんでこんな役引き受けちゃったかなあ」 寝ぼけた頭で記憶を巡らせ、事の発端を思い出し始めた。 阿立は『アクターズカンパニー・(ゆう)』所属の役者だ。ここに所属する役者達の完成度は一級品。また、一人一律一千万円の依頼料で概ねどんな役でも演じてくれる。故に彼らは、一千万円の料金と、演技力を評価する意味で使われる千両役者の掛詞として『千料役者』と名乗っているのだ。そんな役者達には、日々様々な“役柄”が依頼される。 架空の会社の社長であったり、胡散臭い骨董品屋の主人だったり、暴力的なひったくり犯だったり、依頼人の希望に添った役柄を演じる。 男女関係なく演じることができる阿立は、数いる役者達の中でも人気の部類だった。先日も阿立への依頼が『優』のオフィスに舞い込んで来たのだった。
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