第1章

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 奴らに殴られた傷がまた疼いた。  そして、 奴は鳥に矢を向けて、 今にもボウガンの引き金を引こうとしている。 ただ、 ぼくが金 を持ってくるのを待っているのにも飽きたのか。 (よせ)  ぼくは叫ぼうとした。 白い壁が迫ってくるように思えたが…また鳥が激しく羽ばたいている。  暗い歓びが、 頭を占領してきた。 指に力が入る。 (よせ)  弓が弾けた。 目の前が白くなる。  檻の中で、 鳥の羽根が飛び散っていた。
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