1章

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
私がアーカムでの長期滞在を終え、この町に帰って来た時最も驚いたの事は沼地にあった煉瓦作りの廃墟が跡形もなくなくなっていた事だ。 沼地は町の外れにあり、メインストリートをインスマスの方面に向かい、途中にある小道、知っていなければ見落としてしまうような道で当然車などが通る余地はない。その小道を進んだ所にある。 一年中湿気が多く、鬱蒼とした植物の生える土地は誰に好まれることもなく町の住人も滅多なことでは近づかなかった。 そんな所にあった煉瓦作りの廃墟は不気味で町の誰もいつ誰が建てたかを知らなかった。 だからこそ若かった私や友人たちは度胸試しという名目で廃墟まで近くことは度々あった。 それが若い私たちを傷つけ、未来永劫忘れることのない恐怖を刻みつけるとは思わなかったのだ。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!