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ぼぉっと高い天井を眺めているとぬっと猫っ毛頭の幼馴染、鷹司 紫苑が顔を覗かせる。
「し、おん……もう、そんな時間?」
発情期の間は立入禁止にしている家に発情期が明けた日にはきっちりと僕を迎えに来る。
迎えに来なくていいって何度も言ってるのにこいつは聞かない。
「そ、早くしないと遅れっぞ。」
早く起きろと言わんばかりにむぎゅっと鼻をつままれる。
地味に痛い。
「いいよ……遅れたって……」
鼻をつまむ手を跳ね除けるようにして起き上がると身体の怠さが一気に襲いかかる。
うっわ、やっぱ、だりぃ……
学校なんて休んでしまいたい。
そう思うのに、紫苑が無駄な心配をするからそうも言ってられない。
「それに、僕、シャワー浴びてから行くからどうやっても遅れるんだわ。優等生様は先に行っといてよ。」
重い腰を持ち上げて立ち上がるとくらりと世界が回る。
どんだけだよ、って笑いたくなる。
紫苑にバレないように足元がふらつくのを誤魔化すように部屋の入り口の障子に手をかけてそう言う。
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