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小学五年生で第二の性の検診を受ける前、周りがαであることを憧れ、Ωで無いことを祈る中、僕だけはΩであることを望んでいた。 僕の家がΩ至上主義であり、小さい頃から僕はずっとΩであることを望まれていたから。 だから、α至上主義とかΩが下だとかそんなの意味が分からなくて、みんな何を言っているんだろうって思っていた。 でも、そんな考え本当に自分だけだったのだって検診を受けて身に染みた。 自分がΩだと分かった瞬間、家族は大喜びしたが、周りは一変した。 Ωは低脳、子孫を残すだけの存在。 そういわれて、今までの努力はないものにされた。勉強だって、運動だって努力すれば人以上できてそこそこやるだけでも人並み以上には出来た。 「すごいね」と言われていたものが「Ωのくせに」に変わった瞬間。 本気でやるのも馬鹿らしくなって辞めた。 辞めざるをえなかった。 αを目立たせるために。 αだって元から元がいいやつらばかりじゃないのにいきがって反吐が出る。 お前らだって努力しなけりゃ何もないくせに。 そう思っても何も変わらない。変えられない。 本当に馬鹿らしい。 そう思ってた中に中学二年生で発情期を迎え、一層、世の中が嫌になった。一瞬でも嫌だと思っていたΩであることが誇らしくなった。
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